ハーブ
ハーブとは
ハーブ (herb) は元々ラテン語で草本性の有用植物(草)を意味しますが、一般にハーブという場合はヨーロッパで薬用の薬草やスパイスなどに使われる草全般を指します。
有毒植物もハーブに含まれますが、法律によって規制されていて、栽培に許可が必要なものもあるため注意が必要です。
ハーブという名で親しまれているため勘違いしてしまいがちですが、ハーブという植物は実際には存在しません。
このため、人により分類は若干違いがあります。
例えば、語源からすると木本植物は有用植物だけどハーブではないが、ローズマリーやローレルなどの木本植物は一般にハーブとして扱われているし、 ヨーロッパとは関係がないものもハーブと呼ばれています。
また、ローズヒップ(バラの果実)のように植物全体としては通常ハーブには含まれないが、 その実や花弁などの有用部分のみを指してハーブと呼ぶようなものもあります。
さらに一般的な植物名とは別に、ハーブとして利用する時に使用される名前を持つものも多くあります。
利用法
ハーブは大きく「食用として利用できるもの」「食べられないが香りを利用できるもの」「両方を利用できるもの」「香り以外の非食用で使用されるもの」 の4つに分けられます。
いずれも利用する事で薬効を得られますが、特に薬用ハーブの中には毒性が強く、用法や量を誤ると中毒症状を引き起こすものもあるので利用には注意が必要です。
また食材として味付けや香り付けにも使われたり、お茶(ハーブティ)として使われたりします。
香りを利用する方法にはポプリやエッセンシャルオイル(精油)などがあります。
香りの持つ薬効は認められていて、現在ではアロマテラピーの中で盛んに利用されています。
歴史・文化
ハーブの歴史は古く、ヨーロッパではキリスト教発祥以前から使われていて、キリスト教以前の宗教との繋がりが深いと言われています。
これは古代エジプトにイチジク・ブドウとともに、ヤグルマギクやケシの仲間が栽培された薬草園があったことからも十分に考えられます。
ハーブの一種、セージは「Sage」と英語で書かれますが、これは賢者の意味もあります。
これは賢者が人々に伝えた植物がセージだったということから名づけられています。
現在でもハーブが庭に生い茂っている家に住む人など、ハーブを栽培している人のことを尊敬を込めてハーブ魔女と呼ぶ事があります。
ヨーロッパ中世を襲ったペスト(黒死病)から世界を救ったのはハーブの知識と言われています。
セージやマジョラム、ローズマリーなどを酢に漬けておいたものを飲んだり、身体につけるとペストの感染を防ぐと言われていましたが、 現在の研究によってハーブは抗酸化性が強く、免疫力を高めるということが認められ、それを証明することになりました。
また、ヨーロッパのハーブの知識は移民によって北米先住民にも伝わったことで、北米先住民の使うハーブにはヨーロッパを原産とするセージが含まれています。
さらにハーブの歴史は様々な製品の語源にもつながっています。
例えばソープ(石鹸)の語源はハーブの一種、ソープワート(Saponaria officinalis/ナデシコ科)。 全草からとれるサポニンを煮出して使用していたことから名付けられています。
またフランス語のサボン(savon)もソープワート(サボン草)から名付けられていて、これはシャボン玉のシャボンにもつながっています。